ソフトウェア開発の代表的な手法「カンバン」が学べる『カンバン仕事術』を読みました。カンバンという言葉は聞いたことがあったものの、きちんと理解していなかったので本書の内容は大変有意義でした。チームで開発したり、仕事を進める人にはおすすめです。
書評『カンバン仕事術』
この本はソフトウェア開発の現場における「流れ」について学べます。特に下記のような課題を感じている方はきっと得るものがあると思います。
- 納期によく遅れる
- 見積もりが不正確なことが多い
- チームは仕事に追われている
- 優先度がよくわからない
- いろいろなところからチームに仕事がくる
- 誰が何をやっているのかよくわからない
開発現場にいる方なら、経験したことがあるキーワードが並んでいるのではないでしょうか。 仕事の進め方がよくわからない、チームの方針に不満を感じる、、といった現場からの脱却を目指す人は具体的な手法を学ぶことができます。
仕掛かり作業(WIP)
本書を読んで気になったキーワード「仕掛かり作業(WIP)」についてご紹介します。仕掛かり作業とは、現在チームが行なっている作業の全てをさし、その中には、実際に行なっている作業、検証やデプロイを待っている作業項目、まだ着手していない作業が含まれます。
「WIP制限」はカンバン原則の1つです。WIPはWork In Progressの意味ですが、単に流れの中の作業を減らすという意味ではなく、同時に行う作業を減らすことを目的とする原則です。同時に取り組む作業を減らすことで、仕事を終わらせるスピードを上げることを目的としています。
同時に行う作業を減らすことで、本当に仕事のスピードが上がるのか?疑問を持たれた方もいるかもしれません。本書ではその法則を「リトルの法則」として紹介しています。
WIP制限の理論『リトルの法則』
ジョン・リトルにより証明されたこの理論は、同時にたくさんのことをやろうとすると、それぞれにかかる時間がより長くなることを証明しています。具体的に数字を当てはめてみることで数式の正しさがわかります。
下記は数字を当てはめた例です。同じスループットである場合、同時に行う作業「仕掛かり仕事」次第でサイクルタイムが増減することを理解できます。
パターン1
サイクルタイム=1ヶ月
仕掛かり仕事=12個
スループット=毎月12個
パターン2
サイクルタイム=0.5ヶ月
仕掛かり仕事=6個
スループット=毎月12個
パターン3
サイクルタイム=2ヶ月
仕掛かり仕事=24個
スループット=12個
このように実際の仕事で使える学びが多く詰まっているのが『カンバン仕事術』です。気になった方はぜひ読んでみてください!