先日、博報堂PMP(プライベート・マーケット・プレイス)のリリースがありました。リリースにもあるとおりDeal IDを利用した機能としてのPMP自体は今までも利用していたようですが、自社の独自PMPサービスについてのリリースは初めてではないかと思います。
電通PMPとの違いは?
多くの方はご存知かと思いますが、電通は2014年にPMPのリリースを先だって出しており、今回の博報堂のリリースは捉え方によっては「後出しじゃんけん」とも言えます。
後出しする以上、博報堂の立場を考えるとあいこは負けに等しく、差別化要因を明確に示す必要があります。今回の場合はリリースにある「生活者データ・マネジメントプラットフォーム」がその差別化要因でしょう。つまり「良質な枠指定できるだけがPMPじじゃないですよ。それに掛け合わせて博報堂のPMPなら特定の生活者も指定して配信できちゃいますよ。」ということです。そして人を指定する際に用いるのが主にタイトルの「2nd Party Data」ではないかと思われます。
2nd Part Dataとは?
単純に言葉の意味を考えても「1st Party Data=当事者(広告主)が持つデータ」「3rd Party Data=DMP等から提供してもらう第三者が持つデータ」は分かりやすいですし、アドテク業界の方にとって慣れ親しんだ言葉かと思いますが、「2nd Party Data=第2者データ」とはいったい誰が所有するデータを指すのでしょうか?
一般的には広告主と直接関係のあるパートナーから取得したデータを2nd Party Dataと呼びます。第二者とは英語のYouにあたり、顔が見える相手が所有するデータと考えると分かりやすいですね。
PMPにおける2nd Part Dataとは?
あくまで私の予想ですが、今回のリリースにて使用するであろう2nd Party Dataとは媒体社が計測しているデータのことだと考えます。例えば、データを枠を掛け合わせると、PMPのDeal IDを発行するだけで以下の様な広告買付がリアルタイムで可能になります。(あくまで例なので実績の有無は分かりません)
1.あるスマホ端末の旧機種からアクセスしている人に限定して、同シリーズの最新機種の訴求バナーを枠固定で配信
2.ビジネスニュースサイトを閲覧している年収1千万以上のユーザーに限定して、ハイクラス転職サイトの会員登録をビルボードバナーで訴求。
3.女性系サイトの水着関連コンテンツ限定し、脱毛の訴求動画広告を配信
実際は2nd Party Dataのみでなく博報堂グループが持つAudience Oneや、提携しているDMPの3rd Party Dataも駆使した形で提案していくのではないかと思いますが、媒体にとってもデータで差別化できるので収益改善をしてゆくなかでとても重要な商品だと思います。
本当の差別化要因はプランニングと独自枠/データ
上記で博報堂PMPが差別化要因として挙げているのは「主に2nd Party Dataの掛け合わせ」と説明しましたが電通も当然データを活用していますし、実際に電通報の記事で明確に電通PMPのキーはオーディエンスデータと明言されています。
ただし「PMP=プログラマティックでの枠指定」という認識はまだ根強く、2nd Party Dataの活用についてデマンド側が必ずしも認知している訳でもありません。そのような市況でデータ活用を押し出した博報堂グループのPRは一定の効果があるのではないでしょうか。
私個人の考えでは、PMPにおける代理店の本当の差別化要因は下記だと思います。
1.魅力的な独自(買切り)枠とデータを持っているか
2.広告主の課題に合わせた最適なメディアプランニングができる人材が揃っているか
3.運用力があるか(PMPに限らず)
特にブラパネ、LINE、YDN、GDN、Criteo、検索といった鉄板メニューが固定化されている現状では、それ以外のメディアをいかに上手くプランニングできるかが重要です。今までであれば出稿したことのないアドネットワークやDSPを都度紹介してきたと思いますが、各プラットフォーム間の接続が進むほど配信面のコモディティ化が進み、ただ新しいものを提案するだけでは本質的な差別化が難しくなります。これからPMP取引が進むにつれて面とデータを駆使した高度なプランニング能力が今まで以上に問われる様になることは間違いないでしょう。
運用型広告の台頭で「枠から人へ」といった言葉が流行りましたが、結局は「枠も人も大切」という流れになってきているのではないかと個人的には思います。