黒子の観察者

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【アドテク】なぜインフィード広告は伸びているのか

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インフィード広告が非常に売れています。サイバーエージェント、デジタルインファクトの調査によると2015年の市場規模は昨年比2倍の768億円と好調で、2020年には約2500億円にまで成長すると予測しています。

そもそもインフィード広告とは

SNSやメディアのスマホ最適化ページで多く採用されているタイムライン型UIにあわせた広告フォーマットです。具体的なイメージはググればいっぱい出てきます。

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画像:Yahoo! JAPANより

では、以下より私が思う好調の要因を挙げてまいります。

理由1:CTRが高い

インフィード広告の効果を謳ったレポートは多々あるかと思いますが、従来のバナーやテキスト単体の広告と比較して劇的に良いのがCTRです。下記図もYahoo! JAPANから拝借したものですが、クリック数、クリックUUで2倍以上の実績を残しています。

※個人的にCVは同じ商材に絞らないとあまり参考にならないと思うので触れません。

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CTRが良い理由は私が主観的に思うに以下です。

・1回の読み込み領域が狭くViewabilityが非常に良い

・画面の中央より下部に表示されることが多いのでタップしやすい

・広告と気づかずタップしてしまうことがある(PR表記があっても不意に…)

あまり触れられませんがViewabilityが一番のキモだと私は思います。Googleが56%の広告インプレッションは閲覧されていないと発表したように、一般的なバナー広告にとってViewabilityはとても深刻な課題で、画面が小さいモバイルの世界ではなおさらです。vCPM入札が一般化していない現状ではインフィード広告はViewabilityが優れているというだけでもかなり競争力のあるプロダクトと言えるのではないでしょうか。

たまに「バナー広告は死んだ、これからはネイティブ、いやインフィード広告の時代だぜ!」みたいなセミナーや記事を目にします。もしそれが純粋に広告フォーマットとしてインフィード広告と従来のバナー広告を比較するのであれば、同一のViewabilityで比較しない限りはあまり参考にならないでしょう。そもそもインフィード広告も現状では新しいテクノロジーを使っている訳ではなくバナーとテキストで構成されていることは同じなので。

理由2:媒体の収益性改善が期待できる→導入する媒体が増え広告在庫が増える

スマートフォンが普及し始めてから、表示単価の安いモバイル広告の収益性をいかに高めるかは殆どの媒体社にとって大きな課題でした。単価は媒体でコントロールできないので、特にCPC課金の広告商材においてはCTRを上げることが有効な施策ですが、あのGoogleでさえPCと比較するとモバイル広告の収益性は低く、「スマホ広告は低単価で儲からない」ものでした。

その流れを一変させたのがFacebookです。タイムライン型UI上に掲載される広告、つまり今でいうインフィード広告が大ヒットし大幅な増収増益を達成していたのです。日本でインフィード広告が普及する前の2013年の時点で既にFacebookはモバイル独り勝ち状態でした。

この目を見張る成果は多くのメディアにとってセンセーショナルで、Facebookの成功事例に倣ってタイムライン化を検討し始めた媒体社も多いと思います。

理由3:ヤフーがインフィード広告市場に参入

昨年の5月に日本有数のネットメディアであるYahoo! JAPANがモバイルトップページをタイムライン型に大幅リニューアルしました。このリニューアルはユーザビリティの向上目的でもあるかと思いますが、収益性の改善が最大の目的でしょう。実際に決算で宮坂社長も言及されています。

さきほどネイティブ広告のCTRの高さに触れましたが、YDNはCPC課金なのでCTRの良し悪しがPV単価、つまり収益性に直結します。検索広告市場が伸び悩む中ディスプレイ広告の収益性改善は課題だったはずで、今回のリニューアルにより収益性はかなり向上したのではないでしょうか。

PCのイメージが強いヤフーですがスマホでも有数のメディアであり、その参入インパクトは非常に大きかったであろうことは想像に易いです。冒頭で紹介した調査では媒体カテゴリごとの市場規模もレポーティングされており、実際にニュース、キュレーションアプリの売り上げが30億円→215億円と劇的に伸びています。この215億円におけるヤフーの売り上げインパクトは相当でしょう。

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ひと昔前、この手の広告はインフィードではなく「ネイティブ」と呼ばれることが多かったです。シェアの拡大によりインフィードという言葉自体がネイティブ広告のいちジャンルから一般化したのかもしれません。フォーマットは媒体にアジャストしたものの、広告コンテンツ自体は媒体のジャンルやコンテクストを無視したものが多く、まだ本当の意味でネイティブとは言えない実態もあると思います。(あまり興味のないゲームや出会い系アプリの広告よくでませんか?)

今後は動画やGifなどのよりリッチなクリエイティブでの配信が可能になるでしょうが、どう各媒体の世界観に調和し、多種多様な仕様を統一化してゆくか、ということも同様にインフィード広告の更なる拡大への大きな課題なのではないでしょうか。