黒子の観察者

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ウェブメディアが自己申告するユーザー数(MAU)はあてにならない

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年始早々WIREDの記事を皮切りに、長年ウェブメディアの参考指標となっていた「PV(Page View)に対する考え方を改めるべき」といった趣旨のエントリーがいくつか注目を集めました。個人的には変化の激しいウェブにおいてこのような議論があることはとても良いことだと思っており、今回は私がもう一つ使われ方に疑問を持っている指標MAUに関して疑問を投げかけたいと思います。

ユーザー数ではなくCookie数

多くの方がご存じかとは思いますがMAUは”Monthly Active Users”の略で、1か月の間にのべ何人がそのサイトを訪れたのか示す指標です。主な用途としてはサイトの規模の大きや広告媒体資料でいかにリーチ数があるかを示す際に使用されますが、最近では「ユーザー数●●万人突破」などPRで参考とされることも多いです。

このユーザー数はどう集計されているかというと、ウェブメディアの場合は基本的にブラウザCookieベースです。自社計測ツールを持つ超大手以外はGoogle Analyticsのアクティブユーザー数を元にしていることがほとんどでしょう。

以下にCookieベースのMAUは何故あてにならないかを説明したいと思います

モバイル、ソーシャル化が進むほどCookie数は増える

最大の理由はCookieはそのデバイスどころかブラウザが違うと別々のものが発行される仕様です。以下の例では1人でも流入先が違うと5MAUを叩き出してしまいます。

・PCのGoogle Chrome

・iPhoneのSafari

・Facebookのタイムライン

・LINEのメッセージやタイムライン

・Twitterのタイムライン

依然はブラウジングといえばPCブラウザでしたしブラウザを複数使い分けるユーザーは稀でした。しかしスマホが普及し、ソーシャルやメッセンジャーでコンテンツがシェアされる現在ではさまざまなアプリの内臓ブラウザを通じてウェブサイトにアクセスすることが一般化しています。そのような状況ではCookie数と実際のユーザー数との乖離は開く一方で、現在ではユーザー数と謳うにはあまりにも水増しされた形と言えるでしょう。

アプリのみ、ログイン必須のメディアは例外

Facebook、Twittwer、LINEといった自社アカウントへのログイン前提のメディアはデバイスを跨いでユーザーを特定できるため、ウェブメディアよりもはるかに精緻なユーザー数を把握することが可能です。

また、グノシー、Smartnewsといったアプリに限定したメディアもDevice idを取得できるため同様です。蛇足ですが逆にMAUを頑なに開示しないアプリメディアはMAUとダウンロード数にかなりの乖離があると考えて良いでしょう。1年前はリワード広告で1ダウンロード100円程度で購入可能でしたので。

MeryのMAUがFacebookとほぼ同じに?

モバイルを軸に成長しているウェブメディアとしてMeryが挙げられます。最近ではローラさんの萌え袖フーフー(なんだそれは)のテレビCMも流れていますね。こちらの媒体資料によると月間UUは2000万を突破したとのことです。これ自体はとてもすごいことなのですが、2000万というと日本のFacebookの登録ユーザー数と100万程度しか開きがありません。誰もが使っているLINEですら5800万人です。いくら成長してるといえど、若い女子向にターゲットを絞ったメディアがFacebook並みのユーザーを抱えていると考えるのは現実的ではありません。

もちろんMeryの媒体資料には小さく以下の様に注書きがあり、ちゃんとユニークユーザーといえども実際のユーザーとイコールではないことが説明されていいます。

※月間UU(ユニークユーザー)は、Google Analyticsの集計によるのべ月間利用者数のことで、1ユーザによるスマートフォンやPC等からの デバイス横断でのアクセス重複も一部含みます。なおMERYのデバイス比率は、スマートフォン93.8%、PC6.2%です。

ただし、赤字部分からはあくまで1人が1.5人くらいに計測されているような書き方となっていますが、デバイス横断だけでなくアプリ横断の計測もできないですし、スマホ93%ならその情報こそ重要だといえます。そこまで書いてあって説明していないのは個人的に残念です。

誰もが計測ロジックを知っている訳ではない。

何故、このような細かいことを書こうと思ったかというと、「ユーザー数●●人突破!」や「●●万ダウンロード突破!」といった情報をCMやプレスリリースで目にする人全員がCookie、Device ID、アカウント単位でのユーザー計測について詳しく知っている訳ではないからです。

実際にYahoo! JAPANは数年前からUnique UsersをUnique ”Browsers”に名称変更して決算説明をしており、より正しく理解してもらおうという姿勢を感じます。

現在、当てにならないMAUをユーザー数の目安として決算や広告媒体資料に記載しているメディアは少なくないかと思います。自社本位で水増しされた数字をつかうのではなく、受け手にとって分かりやすい指標の提示や呼称を使うことが長期的にはサービスの信頼構築につながるのではないでしょうか。